都市の再開発や東京五輪に伴う建設需要の増加で、業績は2期連続で最高益を更新した。だが、将来には不安要因も。成長に不可欠な海外事業の拡大には人材が不足しているからだ。意識的に若手社員を海外の現場に送り込み、典型的な内需産業の単一文化を変えようとしている。

ベトナム初の地下鉄工事を受注。地盤が不安定なため技術力が要求される(写真=宮下 良成)

 ベトナム最大の経済都市ホーチミン。空港から街の中心部に向かう道は、市民の足であるバイクであふれかえっている。朝夕のラッシュアワーは激しい渋滞となり、自動車で1kmを移動するのに数十分かかることも珍しくない。

 そんな劣悪な交通事情を改善するため、あるプロジェクトが動いている。旧市街を覆う巨大なバリケードの下でベトナム初の地下鉄トンネル工事が始まった。「都市鉄道1号線」は2020年の開通を目指している。街の交通事情を根本から変えるプロジェクトで、最も難工事の区間を任されたのが清水建設だ。受注額は約246億円、前田建設工業とのJV(共同事業体)で工事を担当する。成長するベトナム市場にくさびを打つ最重要案件だ。

 5月26日、地下トンネルを掘り進めるシールドマシンの発進式が開かれた。建設予定のバーソン駅の真上で、ベトナム国旗と同じ赤と黄色の民族衣装に身を包んだ男性たちによる太鼓の演奏から式典は始まった。挨拶に立ったグエン・タン・フォン市長(人民委員会委員長)は「公共交通の近代化において、特別な意義を持つ節目となる。無事故で、品質の高いインフラが完成することを期待している」と述べた。