2015年の旧HPの分社化で、パソコンとプリンターの専業メーカーとして独立した。成熟市場で競争が激化し、業績は低空飛行が続く中、乾坤一擲の勝負に出た。最終製品を量産できる革新的な3Dプリンターを実用化。名門は復活できるのか。

HPが8月に日本市場に投入する3Dプリンターと、担当プレジデントのステファン・ナイグロ氏(写真=北山 宏一)

 「世界のモノづくりを根本から変える製品を開発した」。6月20日、米HPで3Dプリンター事業を統括するステファン・ナイグロ担当プレジデントは、東京を一望する六本木ヒルズ森タワー(東京都港区)の会見場で、詰めかけた記者にこう誇らしげに語った。

 その実力はライバルも認める。「最終製品を量産できる、世界で唯一の3Dプリンターだ」。競合する日本メーカーの幹部はこう評価する。既存の業務用3Dプリンターと比べて、製造スピードは実に10倍で、ランニングコストも半分で済む。世界最大のプリンターメーカーとして、HPがインクジェットプリンターで培った約5000の特許技術を投入した。

 樹脂の粉末素材に、硬化を促す特殊な液をインクジェット方式で吹き付け、熱を加える。これを繰り返して部品を成形。既存の3Dプリンターがレーザーなどを用いて、「線」を描くように素材を硬化させるのに対して、HPは「面」で硬化させるため、生産性を飛躍的に高めることができるという。