少子化、人手不足など、小売業を悩ます様々な外部要因をはねのけ、23期連続の増収を見込む。徹底した省力化、標準化を進める同社の根底に流れるのは、製造業由来の「カイゼン」思考だ。他社がまねできそうでまねできないのは、低コストの思想が骨の髄まで染み込み、体質となっているからだ。

西松屋・越谷大袋店。シンプルを身上とし、外観に過度な投資はしない(写真=竹井 俊晴)

 「越谷大袋店(埼玉県越谷市)の店長に任ずる」──。今年2月、西松屋チェーンの名倉拓郎店長(35)に辞令が下った。一見するとただの人事異動だが、実は名倉店長はすでに埼玉、千葉県内の4店舗(埼玉春日部店、さいたま岩槻店、北越谷店、野田みずき店)を受け持っている。そこにもう1店舗を追加する、というのが今回の辞令内容だ。

 車でそれぞれ20~30分程度かかる距離にある5店舗を1人の店長が運営する──。一般的な感覚からすると「さぞ厳しい労働環境のブラック職場なのだろう」と考えてしまいそうだが、それは早計。名倉店長自身も「まあ、4店舗の時よりは忙しくなりましたけど、普通に運営できていますね」と涼しい顔で話す。

 西松屋の成長を支えるのが、店長の働き方に象徴されるローコストオペレーションだ。名倉店長の実際の働き方は囲みを参照してもらうとして、西松屋が普通の小売業といかに違うのかをまずみていこう。