総合化学大手の住友化学が、山積する農業の課題解決につながる事業の創出に挑む。なぜ、農業か。一つは肥料製造が祖業であること。そして何よりも農業は「伸びしろだらけ」の市場とみる。激化する化学業界での国際競争を勝ち抜くため、農業を先端産業に押し上げて成長力の糧にする。

(写真提供=ナイルワークス)
(写真提供=ナイルワークス)

 関東の米どころとして知られる栃木県下野市。2017年8月、青々とした葉が生い茂る水田を舞台に「未来の農業」を思わせる風景が広がっていた。

 稲の上、ちょうど30cmの超低空を氷上を滑るように飛行する1機のドローン(小型無人機)。あらかじめ覚えこませた地形データを基に全自動で飛行する。搭載した特殊なカメラで稲の状態を撮影し、生育状態や病虫害の発生状況を確認。必要とあらば、ピンポイントで農薬や肥料を噴き付ける。

 少子高齢化で農業従事者の平均年齢が65歳を超える日本。担い手不足が深刻化する中、ドローンを活用すれば、大幅な省力化を果たしながら効率よく稲を育てることができるかもしれない。そんな新しい稲作のカタチを住友化学が探っている。

 このドローンと画像解析技術を開発したスタートアップ、ナイルワークス(東京・渋谷)と共同で事業化の検討を始めたのが16年。17年10月にはナイルワークスに資本参加もした。

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