味覚のデジタル化は和食の危機か?

「特集 新成長産業 KADEN」(10/9号)

 最新調理家電では、温度や時間を精緻に制御する「味覚のデジタル化」が進められていることに大変驚いた。その一方で、和食文化が危機にあるとも感じられた。

 日本には四季があり、豊かな自然は様々な食材を提供してくれる。これらの食材を先人たちが長い年月をかけ、工夫を凝らし、日々の食事を世界に誇れる文化へと昇華してくれたものが「和食」である。味覚のデジタル化が進み、料理の味を容易に再現できるようになると、消費者は自分の嗜好に合った分かりやすい味の食事ばかりを作り、繊細な和食を家庭で作る機会が減る可能性がある。我々の日々の豊かな食生活が、実は「和食」を後世につないでいくために重要であることを忘れてはならない。

志俵 和宏(岩手県、会社員、45歳)

編集部から

 「味覚のデジタル化」が指摘のような方向で進化すれば、和食文化が危機にさらされる可能性はあります。一方、日本の食文化は現時点でもかなり多様化しており、料亭で味わえるような繊細な和食を家庭で作る機会は奪われつつあります。特集で紹介しましたが、お茶とのりの老舗である山本山は、正しいお茶の入れ方を次世代に伝えるために、米シリコンバレーのKADENベンチャーと手を組みました。むしろ文化を引き継ぐために最新技術を活用したわけです。失われつつある文化を理解したうえで消費者好みにカスタマイズしていく──。こうした未来が理想形かもしれません。

/佐伯 真也