大胆な意思決定は創業家の強み

「企業研究 コーセー 同族の力で利益首位」(9/4号)

 近年、創業家と経営陣との対立や、経営を危うくするような身勝手な振る舞いが取り沙汰され、「創業家経営は時代遅れ」と受け止められかねない状況だ。しかし、コーセー4代目の小林一俊・現社長のトップダウン経営による営業利益率の高さは評価に値し、事業改革への指導力もすばらしい。過去にもサントリーグループのビール事業やトヨタ自動車のハイブリッド開発など、目先の赤字に目をつむれる創業家でなければ続けられなかったものがあり、大胆な意思決定とスピードこそ創業家の強みだ。コーポレートガバナンスが喧伝されているが、株主重視になり過ぎるあまり、経営が安全第一で魅力に欠けるようでは衰退は必至だ。創業家ならではの理念に合致した経営を期待したい。

佐藤 真由子(新潟県、会社員、38歳)

編集部から

 「正しきことに従う心」。現社長の祖父に当たるコーセー創業者が言い続けていた言葉だそうです。今の時代に置き換えるなら、コンプライアンスやガバナンスといった言葉になるはず。小林家では、この言葉を創業以来70年にわたって大切にしてきたと言います。正しいことに従うという前提に立てば、捨てる勇気も必要、謙虚さも欠かせない。小林社長は大きな決断をする際に、いつもこの言葉を思い出していたそうです。人口減少の時代において、昔のような成長は望めない。分かっていながら決断できないことは多いもの。今の時代にこそ、同族経営の強みが生きるのかもしれません。

/染原 睦美