自動車産業の主役は政策ではなく消費者

「特集 中国発 EVバブル崩壊」(5/21号)

 メーカーが売りたい物と市場で売れる物は違う。EV(電気自動車)で国内市場をリードしている日産自動車が激戦の国内コンパクトカー市場に送り出したのは、EVではなくガソリンエンジンを搭載するeパワー・ハイブリッド車だった。先行するホンダのフィットやトヨタ自動車のアクアとの勝負には高価なEVでは勝てないからだろう。日本の消費者の多くは今のハイブリッド車の性能に十分満足している。メーカーはまず全クラスのハイブリッド化や低価格化を実現し、並行してパワーソースに左右されないプラットフォームづくりを目指すべきだ。政策は脇役、主役は消費者。その先は商品を買う消費者が決めることではないだろうか。

柴田 友樹(東京都、会社員、55歳)

編集部から

 特集の取材で訪れた中国・北京でも、政府の方針と消費者ニーズの間にギャップを感じました。ある20代の男性はこうぼやきます。「(補助金で)EVが安くなるのはいいけれど、買うならガソリン車。実家のある郊外に充電設備がないから」。市内では地下鉄やバスが充実しているため、クルマを買うなら郊外へ行くのが主な用途になるようでした。一方で、EV推進で国の産業を育てる中国政府の取り組みは成功しています。経済の活性化で利益を得るのも消費者。中国に限らず、政府は国が置かれている状況を大局から見て何が必要かを考え、速やかに断行するリーダーシップが必要なのだと思います。

/池松 由香

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