なぜ日本社会は東芝問題に鈍感なのか

「ニュースを突く 課徴金で終わらない東芝不正問題」(12/14号)

 エンロン、ワールドコムの会計スキャンダルは米国社会を震撼させ、当事者は収監されてSOX法が制定された。当時の米国では会計に携わる人間が全て悪人であるかのような社会的な批判が沸き起こった。東芝の不正会計は、この記事が指摘する米ウエスチングハウス(WH)の減損を除いても多額である。

 会社のためにやったことで私腹を肥やしてはいないと言いたいのだろうが、結果的には不正会計により自身の地位が守られその間の報酬も支払われていたので、私腹を肥やしていないとは言い切れない。ガバナンス先進会社として見られていた東芝がこのようなことになり、独立取締役をはじめとしたコーポレートガバナンスの進展に水を差さなければいいと憂慮している。東芝を反面教師として、魂のこもったコーポレートガバナンスが進むことを期待したい。

橋本 勝則(東京都、会社役員、60歳)

編集部から

 「仏作って魂入れず」。東芝の不正会計問題では、当事者が本気でなければ、どんなに立派なガバナンス制度を導入しても意味がないということが明らかになりました。本来、市場の信頼を揺るがす大問題なのですが、一部には「会社のためにやったのだから仕方ない」との見方もあるようです。これを放置すると海外の投資家から「日本の企業倫理はその程度」と見限られる恐れがあります。本誌は今後も警鐘を鳴らし続けます。

/大西 康之

経営者は「次世代に置き土産を残す人」に

「特集 無気力社員0計画」(1/18号)

 全社員が常に自ら率先して考え、企業に変革をもたらすというのが理想だろう。しかし、多くの企業では、経営者をはじめ考えることを放棄している状況が散見される。例えば、取締役会の場で新しい議題が出た時に、「他社の状況はどうなのか?」という質問しかせず、自らまず考えることをしない役員が存在する。

 企業の内部がこのような状態であれば、「一億総活躍社会」ではなく、「一億総考えない社会」になりかねない。経営者には、常に変革を起こし、次世代に新たな置き土産を残していく人になってもらいたいものだ。

原田 正純(東京都、弁理士、46歳)

編集部から

 ご指摘の通り、全社員が率先してモチベーションを上げる仕組みを考え出し、それを実践するのが理想の環境です。ですが一足飛びに行くのは難しい。まずは経営陣が自ら現場社員に近付き、その距離感を縮めようとする努力が必要でしょう。今回の特集では、経営陣が率先して社内イベントに参加する複数の企業の事例を紹介しました。普段、職場では見られない経営陣の表情を見ることで、現場の社員は親近感を抱くものです。その後のコミュニケーションが円滑に進み、組織の結束も強まるでしょう。

/須永 太一朗

日経ビジネス2016年2月8日号 97ページより目次

この記事はシリーズ「往復書簡」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。