内閣府と日本銀行の間で経済統計をめぐる綱引きが行われているらしい。

(イラスト=小田嶋 隆)
(イラスト=小田嶋 隆)

 11月13日付の日本経済新聞の朝刊によれば、政府統計の改善策などを話し合う統計委員会の下部会合で、日銀の調査統計局長が内閣府の統計担当者に基礎データの提供を求めたという。こういう話が実名入りで記事化されていること自体、異例だと思うのだが、背景には内閣府によるGDP(国内総生産)の計算精度への根強い不信感がある。だからこそ日銀は自らの手でGDPを算出するべく、内閣府に基となるデータの提出を求めたのだろう。

 記事は、さらに踏み込んで、内閣府側が「業務負担が大きい」ことを理由にデータの提供を渋ったことや、結局一部データを提供したものの、いまだに決着がついていない点を伝えたうえで、《世界でも公的統計を含むデータは重要性を増している。データの集計・管理の覇者が世界を動かす時代。統計改革の遅れは政策の方向性に影響を与え、日本経済の競争力低下にもつながりかねない》と、文章を締めくくっている。ちなみに、見出しは『政府統計、信頼に揺らぎ』としている。

 恐ろしいのは、これほどまでに驚くべき記事にすら、驚かなくなってしまっている私たちの退廃の深さだ。

 そもそも財務省が公文書の改竄を認めた時点で、われわれはびっくり仰天すべきだった。なのに、私たちはたいして驚かず、憤りもしなかった。

 であるからして、その前代未聞の不祥事を起こした組織のトップたる麻生太郎財務大臣は、なにごともなかったように留任している。同様に、現場の責任者であった佐川宣寿前国税庁長官も不起訴処分で逃げおおせている。