「日本の台所」と呼ばれた築地市場は、10月6日をもって営業を終了した。市場関係者は、3kmほど離れた豊洲市場に移転を完了、営業をはじめている。

(イラスト=小田嶋 隆)

 移転にともなって、関係者がとりわけ注意を払ったのは、ネズミを一緒に運んで行かないことだったのだそうだが、たしかに、ネズミごと移転したのでは、引っ越しの意義が半減してしまう。豊洲での市場業務は、ぜひともネズミゼロの清潔な環境でスタートしてもらわないと困る。

 当然、ネズミたちは置き去りだ。

 それもただの置き去りではない。新たな食料の供給が途絶された築地での生活は、彼らにとって、飢餓地獄そのものを意味している。側溝や配線路を起点とした縦横無尽の隠れ家も、11日から始まった解体工事が終われば灰燼に帰する。