日野皓正氏による体罰をめぐる問題がいまだに尾を引いている。

(イラスト=小田嶋 隆)
(イラスト=小田嶋 隆)

 事件は、8月20日、今年で13回目を迎える世田谷区主催のイベント「日野皓正presents“Jazz for Kids”」の会場で起こった。1人の生徒が、ソロ演奏を順番で回すはずの場面で、ドラム演奏をやめず、延々とソロを続けたのだ。音楽監督の日野氏が中止を促したが、生徒はやめなかった。日野氏は、ドラムスティックを奪った。が、生徒は素手でドラムを叩き続けた。で、最終的に往復ビンタをして演奏をやめさせたというのが、全体の経緯だ。これを「週刊文春」が報道し、以来、テレビやネット上で議論が続いている。

 「体罰」の後、生徒は、取材に対して、「自分が悪いと納得している」と謝罪するコメントを述べている。

 日野氏本人は、当初「叩いていない。触っただけ」と説明していたのだが、騒ぎが拡大すると、「ビンタは教育。これからもやる」と、むしろ態度を硬化させている。

 世間の反応は様々だ。

 「どんな事情であれ公衆の面前での体罰は良くない」と、日野氏を断罪する声が多数を占めているのは当然として、生徒の行動が目に余るものだったことを考慮して、日野氏の行動に共感の反応を寄せている人々も少なくない。

 個人的に失望させられたのは、主催自治体の首長である保坂展人世田谷区長のコメントだ。

 事件から約3週間を経た9月11日の定例会見で、保坂区長は、「行き過ぎた指導であることは否めない」としたものの、日野氏の行為を「体罰に差し掛かるギリギリ」と説明して、擁護している。

 なんとも腰の引けたコメントだ。