勤め人の経験が浅いからなのか、私は人事にカンが働かない。書いていて情けない話だが、そう自覚している。

新卒で入社した会社を半年ほどで辞めてから、30歳になるちょっと手前までの8年ほどの間、私は、非正規の働き手として、いくつかのメディア企業の周辺をうろうろしていた。そうした折、正社員の人々と酒を飲みに行く度に、毎度毎度驚かされたのは、彼らの「人事」への視線の熱さだった。
ひとりのアルバイトの目から見ると、およそどうでもよい出来事にしか見えない「隣の部署の社員の栄転」や「下の階のエリートの異動という名の左遷」を、彼らはそれこそひいきのチームのエースがトレードでライバルチームに引き抜かれた時の野球ファンみたいな熱心さで、あれこれと論じていたものだった。
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この記事はシリーズ「小田嶋隆の「pie in the sky」~ 絵に描いた餅べーション」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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