ドナルド・トランプ米大統領は、いったい何を考えているのだろうか。

(イラスト=小田嶋 隆)
(イラスト=小田嶋 隆)

 例えば7月の欧州訪問も、日本に居て外信を読んでいるだけでは、はっきりしたところがわからない。というよりも、記事を読めば読むほどわからなくなる。

 というのも、ある記事ではトランプ氏がドイツのメルケル首相と口論したことになっており、すぐ次の記事では彼女を最大限の言葉で讃えていたりするからだ。英国のメイ首相に対する態度も同様で、一方では相手のメンツをつぶす言葉を並べたてていながら、別のところでは、「偉大な指導者だ」と持ち上げていたりする。

 そもそも、一国の首相をつかまえて欧州連合からの離脱交渉術について「教えてあげたのに耳を貸さなかった」という言い方があまりにも失礼だ。まるで、メイ首相が何も知らないド素人のおばさんだと言わんばかりではないか。しかも、トランプ氏は、この発言のすぐあとに、メイ首相の政敵であり、EU離脱強硬派として知られるボリス・ジョンソン氏を「才能があり、尊敬している。首相に必要な資質を持っている」と思い切り持ち上げている。まったくどこまで無神経なのだろう。

 かくのごとくトランプ氏は、痛烈な言葉で相手をくさしておきながら、その一方で最大限に褒め上げていたりするわけなのだが、その結果として、彼には、一種の予測不能性が宿る。

 これは、一面「神」の資質でもある。