昨年、ハリウッドの片隅で始まったセクハラ告発の波は、“Me Too”(「私も」)というハッシュタグ(ツイッター上で同じテーマの書き込みをまとめて閲覧するための記号)でまとめられるや、またたく間に、全米をゆるがす一大ムーブメントに成長した。過去に遭遇したセクハラ被害を公開して加害者を告発するこの運動は、年を越えても映画演劇の世界はもとより、政界、経済界から宗教の世界にいたるまで、全米のあらゆる分野で猛威を振るっている。

(イラスト=小田嶋 隆)

 日本でも、昨年の12月の半ば、女性ブロガー兼作家の「はあちゅう」こと伊藤春香氏が、電通勤務時代に上司である当時30代の社員クリエーターから受けたセクハラについて、その詳細を明らかにする形で告発したことが大きな話題を呼んだ。名指しで過去のセクハラ行為を公開される形になった岸勇希氏は、告発の内容を一部認めたうえで、謝罪の意を表明している。

 で、問題が落着したのかというと、残念ながらそういう次第にはなっていない。ネット上では岸氏だけでなく、はあちゅう氏を批判する声も次第に大きくなっていて、問題はむしろ紛糾の度を増している。