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PROFILE

1925年生まれ。早稲田大学在学中に学徒出陣。復員直後の46年家業の呉服店「岡田屋」の社長に就任。70年ジャスコ(現・イオン)社長。84年同会長、2000年から現職。

(写真=北山 宏一)

「焦土に焼け残った土蔵で見つけた小売りの原点。『心の合併』を成長の力に」

 見渡す限り、焼け野原が広がっていた。早稲田大学在学中に学徒出陣し、終戦直後の1945年9月に復員した当時のことだ。戦時中に激しい爆撃を受けた三重県四日市市にあった家業の呉服店「岡田屋」は、店舗も商品もすべてが灰燼(かいじん)に帰した。

 唯一焼け残った建物が岡田屋の土蔵。そこには、私が家業を継いで、小売企業を経営する“原点”となる基本的な考え方が残っていた。当時すでに亡くなっていた私の父で、6代目当主の岡田惣一郎が渋沢栄一翁との出会いをつづった日記や、岡田屋に代々伝わる帳簿や店の規則などだ。