PROFILE
ダイキン工業会長兼グローバルグループ代表。1935年京都府生まれ。94年6月に社長就任。2002年6月会長兼CEO(最高経営責任者)、2014年6月より現職。ダイキン工業を空調でグローバルトップ企業に育てた。
(写真=太田 未来子)

「変化の予兆を捉え動く。
現場と経営の“呼吸”重ね全体最適で決断を下す」

 ここ数年、従来の常識や価値観が激変するパラダイムシフトが、様々な領域で起こっていると痛感する。産業界では、IoT(モノのインターネット化)やAI(人工知能)といったIT(情報技術)の進化によって、これまで得意としてきた経営手法が通用しなくなったり、予想もしない競争相手が現れたりするようになってきた。経験知や分析に基づく戦略立案よりも、競争環境の「変化の予兆」をいち早くつかみ、半歩先に実行に移すことが重要となる。

 それでは、その変化の予兆をいかに捉えるか。トップが現場の波打ち際に足を運び、動物的な勘も交えながら自ら感じ取って対応できるならばいい。だが、約150の国や地域で事業展開している当社グループの場合、経営トップがすべての現場に出向くのは不可能だ。むしろ、本社にいながらも現場の状況を掌握し、適切に対応できるような、グローバル時代に合致した「現場主義」を徹底する必要がある。

 私は、海外の子会社や駐在事務所の長に変化の予兆を捉える担い手になってほしいと考えている。ダイキンは毎年、世界5極でマネジャーミーティングを開き、各地域の状況をつかんでおり、予算や実績、問題点などを報告してもらう会議も定期的に開いている。

 こうしたフォーマルな場は欠かせないが、それ以上に経営トップが知りたいと思うことをその都度、現場の長に確認するインフォーマルなコミュニケーションを通じて、「現場で何が起きつつあるか」を把握している。根底にあるのは現場に対するトップの好奇心だ。ここで受け取るのは、きれいにまとまったリポートのような「真水」の情報ではなく、まさに現場のリアルな「泥水」の情報となる。