PROFILE

1940年生まれ。64年慶応義塾大学卒業、全日本空輸入社。2001年社長、05年会長、15年よりANAホールディングス相談役。アジアを軸に国際線事業を再編し、国内に依存した事業構造を大きく転換した。

(写真=陶山 勉)

「移民問題一つとっても議論が未熟。内弁慶な日本人の弱みが表れる」

 私が全日本空輸(ANA)に入社して半世紀余りたった。今になって感慨深く思い起こされるのは、社長として経営の操縦かんを握った2001年からの4年間だ。

 01年9月11日に米同時多発テロが発生し、03年にはイラク戦争が勃発した。重症急性呼吸器症候群(SARS)が猛威を振るったのも03年だ。赤字続きだったANAの国際線事業は窮地に陥った。世界的な航空不況下で旅客数や貨物量が減り、業績が圧迫された。

 私は諦めなかった。海外に進出する日本人や日本にやってくる外国人を、将来にわたって支え続けることがANAのみならず日本の発展につながる。これからの時代、国際線で生きていかずしてANAは生き残れないとの信念があった。「赤字でも逃げずにやり抜こう」と社内を鼓舞し、全社一丸で立て直しに取り組んだ。05年3月期決算で、国際線就航以来初の黒字化を達成できたのは忘れがたい経験だ。

 世界の政情や景気に経営が左右されがちな航空会社に、長らく身を置いてきたからだろう。世界に対する日本のありようについて考える機会は多い。特に最近は、我々日本人の「弱み」について頭をめぐらせている。

 日本人の弱みとは何か。それを考えるうえで避けて通れないテーマの一つが、海外から日本への移民の問題だ。

 人手不足を背景に「移民政策を進めて外国人労働力を活用せよ」という声が高まっている。人口減少時代を迎える日本はもっと外国人を受け入れるべき、というのが私の持論だ。「単なる数合わせ」ではなく真の意味で我々と共生し、融合していく。移民してきた異文化の人々にもきちんと役割を持ってもらい、同胞として受け入れればよい。それによって、日本に今まで以上の活力が生まれるはずだ。