PROFILE
富士フイルムホールディングス会長・CEO。1939年旧満州国生まれ。63年東京大学卒業、富士写真フイルム入社。2003年6月代表取締役CEO就任。写真フィルムに依存した事業構造を大転換した。
(写真=的野 弘路)

「 『正しく勝つ』のが企業の使命。正しくない行為は許されない」

 人間をはじめ生物は皆、何らかの争いや競争をしながら生き延び、生き続け成長している。生きることは戦うことだと言ってもいい。その戦いには勝ち、生き続けなければならない。少なくとも負けてはいけない。しかし人間は知性や倫理、優れた価値観を持つ、ほかの生物とは違った特別な存在であり、誇りや尊厳にかけたふさわしい戦い方が要求されている。暴力や嘘、トリックではなく、国家や企業は自身が持つ正しい価値をもとにオープン(開かれた)、フェア(公正)、クリア(透明)に正しい手段で戦うことが要求されている。

 九州で育った私は、子供のころ、両親から「曲がったことをするな」「卑怯なまねはするな」「正直であれ」「弱い者いじめをするな」「人様に迷惑をかけるな」「負けて泣くな」「姿勢を正しくせよ」等、繰り返し教わった。結果として私自身は今までの人生で、それを守り、オープン、フェア、クリアに戦ってきたし、生きてきたつもりである。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1052文字 / 全文文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「賢人の警鐘」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。