PROFILE
ジャーナリスト。1956年生まれ。英エコノミスト誌の元編集長。東京支局長を経験した知日派。『なぜ国家は壊れるのか』(PHP研究所)ではイタリアと日本の類似性などを分析。ドキュメンタリー映画の製作も手掛ける。
(写真=永川 智子)

「ロボットは失業者を生むのではなく、
不足する労働者を補う存在になる」

 ロボットは人間の仕事を奪うのか。日本と同様に、欧米でもロボットの技術進歩を巡る議論は活発だ。特に人々の関心を集めるのは、人間が担ってきた仕事を、どこまでロボットが代替するのかという点にある。いわゆる、ロボット脅威論である。

 2015年、『Rise of the Robots(ロボットの脅威)』という書籍が米国でベストセラーとなった。ソフトウエア技術者のマーティン・フォード氏が執筆した、タイトル通りの刺激的な内容だ。同書はフィナンシャル・タイムズ&マッキンゼー主催のビジネスブック・オブ・ザ・イヤーを獲得している。

 ロボットの進化によって、ロボット自体が自律的に動けるようになり、人間が担ってきた仕事が次々と消滅していく。その進歩は、工場でのルーティンワークといった単純労働にとどまらず、比較的高いスキルが必要とされてきた弁護士補佐やプログラマーといった仕事にも及ぶと書籍は論じている。ブルーカラー、ホワイトカラーともに仕事が次第に減り、多数の労働者が生活に苦しむという。

 読んでいて暗い気持ちになるが、フォード氏の主張は決して少数派ではなく、ロボットの進化は人間の生活を脅かす可能性があるとの主張は多い。

 ただ、私の意見は異なる。個人的にはロボットは失業者を生むのではなく、むしろ、不足する労働者を補う存在になると考えている。その理由は、日本の状況を知っているからだ。