PROFILE
1935年生まれ。慶応義塾大学卒業、キッコーマン入社。米コロンビア大学経営大学院修了。95年社長、2004年会長、2011年から現職。2014年6月、日本生産性本部会長に就任。
(写真=陶山 勉 )

「強力な社長を選び、
取締役会を機能させるには社外の目が欠かせない」

 政府がコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の適用を始めたことを受け、社外取締役を導入する企業が増えてきた。コーポレートガバナンスへの関心が深まり、その質が向上してきていると思う。

 2000年代初頭に東京証券取引所で、上場企業コーポレート・ガバナンス委員会が設置され、私はその委員長を任された。経済人や学者が集まり上場会社のガバナンスの在り方について話し合ったが、なかなか議論がまとまらなかった。

 当時は経済界の中でもコーポレートガバナンスに反対し、「会社のことを分からない社外の人に、会社のことを言われたら迷惑だ」という声が多かった。その一方で、学者や評論家の中には厳格なガバナンスの体制を取り入れるべきという原理主義者もいた。2年にわたって議論したものの、委員会のとりまとめは妥協の産物になり、これまで様々な委員会の委員長を務めてきた中でも、最も苦労した委員会の一つである。

 その当時からすると、今はすっかり状況が変わった。かつて社外取締役の導入に反対していた企業も取り入れている。しかし、政府が旗を振ったから受け入れるという姿勢であれば残念だ。経営者は必要だと思えば、政府に促されるまでもなく導入すべきである。また、昨今は、コードを意識しすぎて、ガバナンスが形式的になっている企業も見受けられる。本来は、企業がそれぞれの判断で自らにあったガバナンスの形をつくり、市場がそれを判断し、おかしいとなれば直していくのが望ましい。一律にやれというのは少々疑問がある。