PROFILE
日本電産会長兼社長。1944年京都府生まれ。職業訓練大学校を卒業。73年に日本電産を創業した。ハードディスク向けから家電・商業・産業用、車載モーターまで事業を広げ、世界有数のモーターメーカーに育てた。
(写真=小倉 正嗣)

「加計学園問題の根に大学の硬直性がある。
柔軟性改革こそ急務」

 学校法人「加計学園」(岡山市)の愛媛県今治市への獣医学部新設が大きな問題になっている。論評するほど知っているわけではないから、この件に深く言及する気はないが、1学年160人という学部新設計画を聞くと、獣医の市場規模にその供給は本当に合っているのかという疑問は起きる。というのも、日本の大学の人材育成は、産業界など世の中が必要としている分野や質・量と合っていないと感じているからだ。

 言うまでもないことだが、技術のトレンドはここ数年、大きく変わってきた。AI(人工知能)やロボットが、幅広い分野で本格活用段階に近づき、あらゆるものがインターネットにつながるIoTは、情報の新たな使い方を基に、これまでにない付加価値を生み出そうとしている。

 こうした分野で生まれる膨大な人材需要に今の大学は応えきれていない。新たな大学を作るのもいいが、それ以前に既存の大学の改革を行うべきではないか。

 改革すべきことの1つ目は、大学がもっと柔軟になることだ。技術が変化し、社会が変わっているのに大学は学部の名前を変えただけでカリキュラムをほとんど変えていないことが多い。だから我々経営者から見ると、すぐに使えない若者ばかりになる。

 例えば、モーターはこれから自動車にもロボットにもドローンにも、様々な分野に使われ爆発的に需要が拡大するが、日本にはモーター学科はない。むしろアジアの大学の方がそこを見据えて学科を持っていたりする。

 分かりやすいから当社の事業に関わる分野で申し上げているが、AIやロボットもその需要に比べれば、圧倒的に大学が備える学科数は少ない。ではなぜ、そうなるのか。

 浮かんでくるのはカリキュラムと大学内の教員の“硬直性”だ。もちろん、はやり廃りで大学教育をコロコロ変えていいわけはない。しかし、技術の中長期の流れを見据えて、種のようなものを仕込んでおかないと、急速な変化が起きた時に対応ができない。