PROFILE
伊藤忠商事前会長。1939年生まれ。食料分野を中心に活躍。98年に社長就任。4000億円規模の不良債権を処理し業績を回復。アジアへの造詣も深く2010年、民間出身では初の駐中国大使に起用された。
(写真=清水 盟貴)

「形骸化する社外取締役。社長の独裁招く逆効果も。PDCAで有効性高めよ」

 経済産業省が、上場企業の相談役や顧問の役割を明確化するルールを導入しようとしている。2015年6月から、金融庁と東京証券取引所は上場企業に独立社外取締役の有効活用などを求める企業統治のルール「コーポレートガバナンス・コード」を適用していたが、相談役や顧問の役割の明記でガバナンス強化の取り組みが、また一歩進むことになる。

 だが、こうしたガバナンス強化は、形骸化してはいないか。経営者たちと話していると、多くが「社外取締役はほとんど経営の役に立っていない」と言う。外見を取り繕う“ウインドードレッシング”のために導入しているにすぎないというのだ。

 東証1部上場企業だけで社外取締役が約4750人もいるそうだ。1人で3~5社の社外取締役を兼務している人もいる。報酬はだいたい400万~2000万円程度で、1000万円前後が平均らしい。経営者にとっては著名人を社外取締役に招けば箔がつく。これだけの報酬を払っても見栄えを良くできるのなら安いものだ。一方、社外取締役の中には、仮に役に立たなくても報酬を得られるというのはおいしいと考える人もいるかもしれない。