「世界標準化は難しい。直面する環境問題に対し現実的な最適解を示す」

PROFILE
ダイキン工業会長兼グローバルグループ代表。1935年京都府生まれ。94年6月に社長就任。2002年6月会長兼CEO(最高経営責任者)、14年6月より現職。ダイキン工業を空調でグローバルトップ企業に育てた。

 これからの時代、日本の製造業がグローバル市場で勝ち続ける上で、「環境技術」が何よりも重要になる。「持続的な成長」という人類・地球全体の課題に対し、製造業ができる最大の貢献は、環境技術を磨き、その成果を商品やサービス、ソリューションの形で提供することだからだ。

 ただ、パリ協定の採択に至るまでにも議論が百出したことからも分かるように、環境問題というのは国ごとの政治的な思惑や、企業の競争関係などの要素が複雑に絡み合う。コンセンサスづくりが極めて難しいのだ。

 地球温暖化対策として、当社はCO2(二酸化炭素)換算で従来の冷媒よりも環境負荷が小さい「R32」という冷媒を世界標準として空調機器に採用することを提唱している。環境のほか安全性、経済性などを総合的に見て、現時点では最適な冷媒だと考えているからだ。各国政府や環境問題の専門家、業界関係者などに技術的なデータを開示し、国際社会の意思決定の場などでコミュニケーションを図ってきた。同時に、特許技術を無償開放した結果、日本国内やアジアを中心に採用の動きが進んでいる。

 標準化で大事なのは、世界中のキーパーソンとの対話だ。様々な物の見方や意見がある中、ロビー活動なども駆使して、主張の正当性を客観的に証明し、決して自社だけの利益につながるものではないことを示す説得力が求められる。日ごろは競い合うライバル企業をも味方に付けなければならない。こうした賛同者や仲間づくりは、最前線でライバルと競い合っている現場が担うには難しい面もある。経営者の重要な役目といえる。