「政治家と経営者は長期的な構想を示して経済の好循環を生み出せ」

PROFILE
1935年生まれ。慶応義塾大学卒業、キッコーマン入社。米コロンビア大学経営大学院修了。95年社長、2004年会長、11年から現職。14年6月、日本生産性本部会長に就任。
(写真=陶山 勉)

 日本の政治家や企業経営者が短期志向になっていることを心配している。政治家は世論調査に、経営者は四半期決算に一喜一憂してしまっている。世論調査や四半期決算には問題があるものの、一定の役割があるためやめるわけにはいかないのだろう。

 例えば政治家は世論調査を気にして、不人気な政策を避けがちだ。調査の仕方にも疑問がある。「消費税率の引き上げをどう思いますか」と尋ねられれば、多くの人が反対するだろう。「財政健全化のために消費税率を引き上げざるを得ないことについて、あなたはどう思いますか」など、質問の仕方を変えることも必要ではないか。

 経営者が長期的な視点で投資を増やせないのにはトラウマがある。現在60代の社長は、バブル経済が崩壊した時期に中間管理職だった人が多い。

 1997年に山一証券が、98年に日本長期信用銀行(現新生銀行)が経営破綻した。当時の自分たちの上司が謝罪会見をしたり、新聞で糾弾されたりするのを見ているので、自分たちはそうなりたくないと思っているのだろう。

 バブル時の野放図な不動産投資などに比べれば、今はリスクを十分に検討した上で投資が決定されている。それでも投資に対して慎重なのは、不安を感じているからだ。四半期決算の数字で株主から批判を受けることもあるので、一時的にでも業績を下げる投資に及び腰になってしまっている。

 だが、日本的経営の長所は、長期的な視点で物事を判断する点にある。短期の業績に多少のしわ寄せがあっても、長期で企業が成長できればいいという考え方は決して間違っていない。