PROFILE
1935年生まれ。慶応義塾大学卒業、キッコーマン入社。米コロンビア大学経営大学院修了。95年社長、2004年会長、2011年から現職。2014年6月、日本生産性本部会長に就任。
(写真=陶山 勉 )

「生産性の向上につながる高い付加価値を生み出せ。
革新と差異化の徹底を」

 日本生産性本部の会長を務めていることもあり、生産性をいかに高めていくかを常に考えている。日本は人口減少となり、労働人口も減る中で、安倍政権はGDP(国内総生産)600兆円の目標を掲げている。これを実現するために、生産性の向上はこれまで以上に欠かせない。

 では、どうやって生産性を高めればいいのか。誰でもピンとくるのは効率を良くすることだろう。1つのことをできるだけ短い時間で、より少ない人数でやり遂げるイメージだ。工場でも100人が働いていたラインを90人で動かせれば生産性は高まる。

 生産性は、生み出した付加価値を労働力(人数または人数×時間)で割れば算出できる。上記の「効率を高める」やり方は計算式の分母、すなわち人数とか時間を減らして分母を小さくする手法だ。だが、それだけでは不十分だ。付加価値を高める、すなわち分子を大きくすることも併せてやらなければならない。分母だけを減らせば縮小均衡に陥る恐れもあり、余剰人員は失業してしまう。

 したがって、GDPの増加につながる生産性の向上とは、付加価値を高めることにほかならない。そのために必要なのは、需要を創り出すことだと思う。かつて高度経済成長が始まった頃「三種の神器(テレビ、洗濯機、冷蔵庫)」が出てきて、成長をけん引した。例えば、洗濯板の需要はなくなるが、代わりに洗濯機という付加価値の高い製品に対する需要を生み出したわけだ。