ふるさと納税で寄付した人に贈る返礼品。各自治体間での競争が激化している。地域商品券を導入し人気を集め、寄付額は町の税収の2倍近くに増えた。だが、オークションサイトでの転売などの問題が表面化。廃止に踏み切った。

[千葉県大多喜町町長] 飯島勝美氏
1945年生まれ。千葉県立大多喜高校卒業。69年、飯島設備工業を設立して社長に就任。2009年4月、会長に就任。2010年1月、退職。大多喜町長選に出馬して初当選。2014年1月、再選し現在に至る。
返礼品の商品券、廃止の概要
ふるさと納税は故郷など好きな自治体に寄付すると、2000円を超える部分を所得税と住民税から控除できる制度。一般的に所得が多い人ほど控除額が増える。千葉県大多喜町ではふるさと納税で寄付した人に対する返礼品として、地域商品券を2014年12月から導入。だが、換金性が高く、不正転売などの問題が起きたため、今年5月末に廃止した。
大多喜町は千葉県房総半島の中央部に位置する。商店街には「ふるさと感謝券」を使用できることを示すのぼり旗があちらこちらに設置されていた。城下町の面影を残す古い建物が点在する

 千葉県大多喜町が、「ふるさと感謝券」と呼ぶ大多喜町限定の商品券をふるさと納税の返礼品として導入したのは、2014年12月のことです。税収向上による財源確保、商品券の使用による地元経済の活性化が目的でした。

 効果は絶大でした。感謝券導入前の2013年度はふるさと納税の件数はわずか10件、金額は55万2000円でしたが、2014年度は1838件で約5055万円、2015年度は1万6691件で約18億5500万円に達しました。2015年度の町税収入は約10億円ですから、その2倍近い金額です。ここまで伸びるとは正直、予想外でした。

 一方で想像していなかった困ったことも起きてしまいました。高額商品の売買に使われたり、インターネットで不正に転売されたりするなどの問題が発生したのです。総務省から換金性が高いからと自粛要請が出たこともあり、今年5月末で感謝券は廃止しました。

 ふるさと納税は全国的に2008年度から導入されました。2010年に町長に就任後、返礼品について検討したらどうかと議会でも提案を受けました。

 ふるさと納税は個人の故郷への思いから寄付をするのが本来の姿ですが、最近では返礼品を目的に寄付をするのが当たり前になってきています。私自身は、返礼品を出してまで寄付を募るのはいい制度ではないと考えていました。本来の税金の趣旨とは違いますし、納税額が大きい人ほど優遇されることになりますから。