シューズ産業振興のため神戸市が設立した第三セクター。事業モデルが思うように機能せず、当初から赤字が続いた。解散を決め震災復興の象徴的存在だった拠点も住宅メーカーに売却した。

[くつのまちながた神戸・前代表取締役専務]
安達宏二氏


神戸市役所に入庁後、建設局下水道河川部経営管理課長、みなと総局参事などを歴任。神戸市役所を退職後、2015年4月、神戸市の第三セクター、くつのまちながた神戸の代表取締役専務に就任。今年6月、同社は解散。清算人を務める。

第三セクター清算の概要
神戸市長田区は戦後、ケミカルシューズ(化学靴)の生産地として栄えたが、1995年の阪神大震災で工場が被災するなど壊滅的な打撃を受けた。震災からの復興と産業振興のため99年、神戸市と中小企業基盤整備機構が中心となりくつのまちながた神戸を設立。シューズプラザを拠点に産業振興を進めたが、赤字が続き今年6月、解散した。

 今年6月30日、「くつのまちながた神戸」を解散しました。今年11月に会社清算を終了する予定です。

 くつのまちながた神戸は1999年4月、神戸市、地域振興整備公団(現中小企業基盤整備機構)を中心に日本ケミカルシューズ工業組合、神戸商工会議所など20団体が出資して神戸市長田区に設立しました。長田地区はシューズ産業が集積していることで知られています。その産業振興が目的でしたが、厳しい経営状況が続いていたことや、一定の役割を終えたことなどから解散することになりました。

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