都民ファーストが躍進した都議選。同日の兵庫県知事選では勝谷誠彦氏が自民などが推薦する現職に敗れた。前週に行われた静岡県知事選では、元五輪柔道選手の溝口紀子氏が連合静岡が推薦する現職にかなわず。同日の横須賀市長選では逆に、自民が推薦する新人に2期を務めた吉田雄人前市長が敗北した。

兵庫県知事選 (7月2日)

 7月2日投開票の兵庫県知事選は4期16年を務めた現職の井戸敏三氏に作家の勝谷誠彦氏が挑むも、約30万票差の64万票と及ばなかった。投票率は前回から12.6%低い40.86%と関心は薄く、自民・民進・公明・社民の県組織が推薦する現職が5選を決めた。

知見を郷土へ還元 叩いても組織壊れず

勝谷 誠彦氏 [作家]
[かつや・まさひこ]1960年兵庫県尼崎市生まれ。灘中学校、灘高等学校、早稲田大学第一文学部を卒業後、電通に入社。同年文芸春秋社に転職。「週刊文春」などの記者を経て96年退職。作家、コラムニストとして活躍。(写真=山田 哲也)

 おたくの雑誌のここに、ずっと出たかったんだよ、俺は。だいたい「敗軍の将、兵を語る」というタイトルが秀逸だよね。僕が「日経パソコン」で連載をしていた時から担当者に出してくれと言っていたんだけれど、じゃあ、負けてくださいよと。それが、今回、選挙に負けて、やっと出ることができた。これだけで選挙をやってよかったな(笑)。

 兵庫県の有権者は463万人いるわけで、そこで64万票しか取れなかった。結果は完敗です。「敗軍の将は兵を語らず」と言うけれど、このことわざそのものが、兵をナメている。敗軍の将は兵に土下座せなあきまへん。ほんまに、ごめんなさい。この程度だったよと。

 私の人生は、ずっとこの程度だったのであって、一つは何も考えずに清水の舞台から飛び降りるの。もう一つは、そのくせ詰めが甘い。もうこれに尽きるよ、人生すべてね。

言葉の力で郷土を元気に

 出馬した動機は、退屈だったから。人生もうやることないんだから。芥川賞を取るような小説を書く、という大事な目標はあるんだけれども、それは敷居が高くてね。まあ、兵庫県知事ならいけるかなと(笑)。

 これまで100を超える国を旅して、見たり聞いたりしたことを(記事や書籍で)売り出してきた。この年になって、社会に何を還元できるかと考えた時、この頭の中にあるものをこのまま火葬場で燃やしちゃうのはもったいない。郷土の人に還元したいと。こういうことを最後の演説で言ったんだよ。

 演説では「コストパフォーマンスを考えてください」とも言った。「何億円のコンサルタントを知事の給料だけで雇えると思っているんだ」と。しかも元首クラスの友人が世界中にいて、日本のみならず世界に発信していけるんだよと。大ひんしゅくを買ったけどね。

 こういうことを言うから嫌われるんだけれど、でもその通りなんですよ。そういう知見やコネクションを、組織や派閥を通さず、直接、還元できるのはやっぱり知事だと思った。

 これまで、安倍(晋三首相)さん含めていろいろな方から国政に出ませんか、と言われましたよ。けれども、議会制民主主義で一議員をやったって、できることはたかが知れている。というのが、俺はもう分かっているわけ。散々、政治を見てきたから。

 それよりも大統領制である自治体の首長の方がやりがいがあるのよ。東京都知事や大阪府知事になると、これは中央の政局と大きく絡んでくる。それ以外で大きなところというと、生まれ育って隅々まで知っているマイ故郷の兵庫県が浮上するわけです。

 すごく多いんですよ、灘高出身の知事というのは。例えば灘高の4年先輩で生徒会長もやっている黒岩祐治氏は神奈川県知事でしょ。徳島県知事もそうだし、三重県知事もそうだ。負けたのは俺ぐらいじゃないか、ひょっとして。情けねえよ、先輩や後輩に。