7月2日投開票の都議選は、小池百合子氏率いる都民ファーストの圧勝、自民党の歴史的大敗で幕を閉じた。吹き荒れる“緑の暴風”を前に敗北を喫した党幹部や候補者は、何を思うのか。注目の1人区で暴風にあおられ涙をのんだ候補者たちは、一様にやるせなさをにじませた。

自由民主党
下村 博文氏 [東京都連会長]
国政問題がマイナス 都民に訴え届かず

自民党は現在の57議席を大幅に減らし、わずか23議席。過去最低の38議席を下回る歴史的惨敗を喫した。

 予想以上に厳しい結果でした。謙虚に反省しこの結果を受け止めたいと思います。責任については十二分に受け止めていきたいと思います。

 都議会議員候補の主張なり政策なりが十二分に都民に届く前に国政の問題が起きてしまいました。私自身のことは選挙妨害だと思っています。(編集部注:「私自身のこと」とは週刊文春が「下村博文元文科相『加計学園から闇献金200万円』」と題するスクープ記事を選挙戦終盤の6月29日に報じたこと)。同日すぐに記者会見を開いて事実について説明をしましたが、選挙にマイナスの影響を与えたことは事実です。都議会議員の候補者の方々に心からおわび申し上げたいと思います。

 また、稲田朋美防衛大臣の発言、豊田真由子衆院議員の問題といったことが都議会議員選挙の結果に影響したことも、指摘されればその通りだと思います(編集部注:稲田防衛相が東京都議選の応援で「自衛隊としてもお願いしたい」と発言。自衛隊を政治利用したと批判を浴び、6月30日、発言について謝罪。豊田衆院議員は秘書への暴言・暴行問題が報じられ離党届を提出した)。

 自民党は様々な人たちの声をしっかり都政の中で反映していく、と訴えてきました。反省するところは反省しながら、東京を良くするためさらに精進していくとも申し上げました。

 また、今回の選挙で選ばれる都議は2020年の東京五輪・パラリンピックを開催するときの都議です。これは絶対に成功させなければなりません。加えて、築地市場の豊洲移転問題はどうか。これ以上、税金を無駄遣いしないで実現できるのか不透明です。さらに、都政には教育、高齢者福祉など様々な問題が山積しています。こうした都政の問題点について訴えましたが、厳しい結果になってしまいました。

 とはいえ、自民党は「世界で一番の都市・東京」と常日ごろから標榜しているわけですから、小池百合子知事に対しては協力するところはしっかり協力していきたいと思います。

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 下村氏は今回の選挙結果を受け、都連会長の辞任を表明。投開票日翌日の7月3日に開かれた自民党の臨時役員会で「党を挙げ支援していただいたにもかかわらず、厳しい結果となった。心からおわび申し上げる。都連会長を辞任し、今後都民の皆様からの信頼が回復されるよう、汗をかいていく」と発言。だが、役員会後、自民党本部で待ち構える記者団の前に姿は現さず、会見することなく去っていった。

 本誌の直撃に、改めて大敗の責任を取って辞任したことは認めたが、それ以上は「秘書を通してくれ」と黙して語らず。再三の取材要請に秘書からは「時間が取れない」との回答しか得られていない。

下村博文氏の談話は選挙期間中の演説と選挙後の記者会見を基に構成しました。
民進党
松原 仁氏[東京都連会長]
離党ドミノ防げず 解党的出直し必要

都民ファーストへの離党者が相次いだ民進党は、前回獲得議席の18を大きく下回る5議席しか獲得できなかった。

 今回の結果は敗北です。表面的に見れば、離党を受けて改選前に7あった議席が5になり、踏みとどまったということもできますが、それは詭弁です。政権奪還を目指す政党であるのに、この議席数は踏みとどまったものではありません。惨敗です。

 団結をしないといけない時期に、離党者が続出しました。都連会長として離党を食い止められなかったのは申し訳ないと思い、辞任を表明しました。わが党の求心力のなさが、なぜ起こったか、党としての反省が必要です。反省点があるとすれば、選挙の1年前に張り付ける地方議員や国会議員、秘書を決めて、選挙対策をしていれば、離党ドミノは起きなかったかもしれません。

 さらに今回の選挙では民進党の地方議員150人のうち、50人は都民ファーストの候補の応援を全力でやりました。民進党の最大支持母体の連合東京も彼らを推薦しています。民進党の組織的な力のトップである地方議員と支援者が都民ファを応援していた状況が、なぜ起こったのか考えないといけません。

 2年後の統一地方選挙では区市町村議員選挙も一緒に行われます。そのときに浮動票が少しでも取れるところにいくというのは当然の判断としてあるかもしれません。そうした地方議員に対して、どうフォローできるかの大戦略を考えるべきです。

 国民の怒りの受け皿になれなかったことも根深い問題です。国民は自民党の権力の私物化に対して怒りを示しました。有権者は都民であり、国民です。国民は自由民主党に対する怒りを意思表示する機会がきたと思っています。にもかかわらず、自民党を批判してきた民進党ではなくて、批判をしていない党派に有権者がいってしまいました。

 だから私は党の解党的出直しが必要だと思っています。ただ民進党はみんなが集まって総括すると、誰が悪いという責任論の話になってしまう。党内抗争は最低です。それぞれが虚心坦懐に自問自答し、この党の体制、方針、政策、地方議員に対するフォローで政権奪還できるのか考えるべきです。

 このままでは地方議員が1年半以内に離党する可能性が極めて大きいと思っています。今回の選挙では民進党の候補者が離党し、都民ファにいきました。なぜ逃げたか、逃げるときのハードルの低さの理由は何か、なぜそうなったのかを含めて考えると、しかるべき立場の人は出処進退を含めて、責任をとってもおかしくありません。3~4カ月以内には何らかのことが行われると私は信じています。党の創造的破壊ができないと、わが党は終わりです。