職員による定期積み金の着服や、業務目標達成のための「浮き貸し」行為が相次いで発覚した。「職員をかばう被害者も多く、事件を不法に内部処理することが常態化してしまっていた」と語る。地域と顧客との信頼関係を掲げていた信金にとって思わぬ落とし穴となった。

稲葉直寿氏
1943年、鹿児島市生まれ。66年、鹿児島経済大学(現・鹿児島国際大学)卒業後、鹿児島相互信用金庫に入庫。営業開発室長などを経て、97年に理事に就任。2006年に副理事長。09年より現職。
鹿児島相互信金の不正の概要
鹿児島相互信用金庫は昨年12月、職員3人の着服事件について、法に定められた金融当局への届け出義務を果たしていなかったと発表した。第三者委員会の調査の結果、さらに20人が着服や不正な貸し付けに関与していたことも今年4月に判明した。こうした不正に該当する金額は2001年以降で計5億3800万円に上った。
慶応義塾大学と連携した地域おこし研究所の発足など、鹿児島相互信用金庫は超地域密着・超顧客密着を掲げ、地元に根差した経営を続けてきたと思っています。預積み金残高も九州の信金でトップクラスで、低金利にあえぐ地方の信金も多い中、まずまずの業績を上げてきました。
行政からもこうした経営体制に激励の声を頂いていただけに、皆様の信頼を失墜させる今回の不祥事は大変情けなく、申し訳なく思っています。
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