加古川市で地元の人に90年間親しまれ続けた市場が閉店した。組合員が高齢化し後継者も不足。担い手が減り常連客も高齢化してきた。清瀬憲昭代表理事は「これから同じような閉鎖は全国的にも増える」とみる。

[加古川廉売市場協同組合 代表理事]
清瀬憲昭氏

1946年生まれ。自動車販売店の営業担当を経て、日本茶販売店を先代から引き継ぐ。京都府宇治市にある茶葉製造メーカー勤務を経て現在に至る。2017年加古川廉売市場の代表理事に就任。自身のお店は近日中に移転予定。

SUMMARY

加古川廉売市場閉鎖の概要

1927年に開設した市場が閉鎖した。協同組合を構成する店舗で、経営者の高齢化と後継者不足が相次いだ。36事業者で始めた市場も現在6事業者にまで減った。市場内の固定費が重くなる一方で売り上げの減少に歯止めがかからなかった。土地は売却し組合員で売却益を分配し、新しい店を出店したり、老後の資金にしたりする。

 2017年12月20日をもって、90年間続いた市場の営業を終えました。当日は午後8時にシャッターを閉めましたが、なじみのお客様が最後までいてくださり、色々と思い出話をしながら感慨にふけっていました。例年であれば12月は年末年始の準備のためにお買い物をしていただく方々でごった返す時期です。そんな時期にがらんとした店内で後片付けをしていると、やはり寂しいですね。

 これまでご利用いただいていた皆様には申し訳ない気持ちでいっぱいです。もっとも、申し訳ない気持ちになったのは、つい最近なんです。最初は、競合店もたくさんありますし、別にうちがなくなってもお客様が生活に困ることはないだろうと思っていました。

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