スタッフから異常の訴え

 昨年の2回目のジャパンカップは大手人材広告企業のマイナビをはじめ、多くの企業から協賛を頂き、茅ケ崎市や神奈川県からも後援を頂きました。3kmから18kmまでの複数の距離別などに分けてレースを行い、タイムを競うもので、賞金総額は300万円。国内では非常に大きな大会です。

 さて、昨年の事故に関してですが、原因は大会に合わせて作ったTシャツでした。長年お付き合いがありお世話になってきた製作所に製作を依頼し、大会が開かれた9月10日にレースの出場選手ら参加者に配布したものです。

 当日は午前7時ごろにボランティアスタッフが集まり、事前に届いていたTシャツを皆さんに配り始めました。そのうち、午前10時半ごろになり、スタッフの一人がかゆみを訴え始めたのです。ただ、私も含めスタッフの多くが同じTシャツを着て作業をしていましたので、当初その人については、食事などに起因するアレルギーなのではないかと考えていました。

 その後、開会式があり競技が始まってから、昼前に出場選手の中からかゆみや痛みを訴える声が上がりました。シャワーを使ってTシャツを洗っている人もおり、確認すると泡のようなものが出ていたのです。この時点でおかしいと気付き、注意を喚起する場内放送を流しました。

 しかし、午後に入り、異常を訴える人がさらに増えたことを受け、Tシャツの製作所に連絡。同社の社長がすぐに現場に来て、状況を調べることにしました。ただ、その日は結局、大会自体はそのまま進行したのです。

日本でも競技人口が増えているスタンドアップパドルボードだが、大会を盛り上げるために製作したTシャツが皮膚障害の原因となった

 私が午後5時半ごろに事務所に戻ってから、近くの病院から、Tシャツを着た人たちが10人近く体調不良で来院していると連絡がありました。また、警察からも連絡があり、事態が発覚したという流れになりました。

 Tシャツが原因であろうということはこの時点ではっきりしていたため、翌11日は当然ながらTシャツは一切配布せず、会場でもTシャツを着用しないよう、周知しました。2日目の開催についても、中止にするという選択肢もあった。ただ、選手らの意見も踏まえて協議した結果、Tシャツについての注意喚起を徹底することも含めて開催するという結論になりました。

 しかしながら、1日目の時点で選手・スタッフ含めて既に363枚を配布してしまっており、被害が拡大する結果となりました。入院された方、通院された方を合わせて現時点で把握しているのは63人に上ります。

 被害の原因については、Tシャツのプリント加工に前処理剤として使用された皮膚刺激性物質の「塩化ジデシルジメチルアンモニウム」が高濃度で残留したためと推定されました。今回の事件では我々主催団体のほか、Tシャツの製造元、原料メーカーなど3社が関係していますので、警察の捜査も進んでいくことになるかと思います。