昨年8月、著名ユーチューバーのヒカル氏らが「VALU」での売買を巡り、ネット上で炎上。所属事務所のVAZは昨年10月、謝罪と再発防止策を公表し、ヒカル氏らも11月から活動を再開した。VAZの森泰輝社長はクリエーターのマネジメントが甘かったと悔いる一方、管理体制強化への覚悟を語った。

[VAZ社長]
森 泰輝氏

1990年、和歌山生まれ。早稲田大学在学中の2013年10月、動画アプリ「vine」を活用したグルメサイト「@mikke」を起業。15年7月、主にユーチューバーを活用した若年層向けマーケティング事業を手掛けるVAZを起業。

SUMMARY

VALU騒動の概要

昨年8月、VAZ所属のヒカル氏ら人気ユーチューバーが、個人の価値(VA)を株式のように売買できる「VALU」を開始。優待サービスへの期待をあおり、価格が高騰した直後にヒカル氏らが保有するVAを一気に売り出したため、価格が急落。ヒカル氏らは約5500万円(2017年8月時点)の利益を得た一方で、一部の保有者が損失を被り、批判を集めた。

 昨年8月、当社所属のクリエーター(ユーチューバー)が、「VALU」という個人の価値を売買するサービス上で、自分たちの影響力の大きさを顧みずに軽率な行動をしてしまったことについて、ファンの方々をはじめ関係者の皆様に大変なご迷惑とご心配をおかけし、申し訳ございませんでした。

 VALU騒動のきっかけは、「ヒカル」「ラファエル」「禁断ボーイズ」のいっくん、という3人のクリエーターが、VALUのサービス上で自分たちの価値を競い合うという企画を、ユーチューブの動画ネタとして始めたことです。本人たちの知識不足もあり、その行為と影響力が、結果として意図しない方向に働いてしまいました(「VALU騒動の概要」を参照)。

 彼らは、人気ランキングのサイト、という認識で、単純に1位になったらビジネスマンの間でも人気者になれるよね、と始めたわけです。しかしVALUというサービスは仮想通貨を用いた株取引のようなもので、フェイスブックのアカウントとひも付けてログインし、申請が通った瞬間に時価総額が個人についてしまい、仮想通貨で売買できてしまう。価値は株価同様、上がったり下がったりするわけで、ヒカルらの行為によって損失を被った方が多く出てしまいました。

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