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非配偶者間の人工授精(AID)の先駆者であった慶応大病院が新規の患者受け入れを中止した。AIDで生まれた子供の「出自を知る権利」に注目が集まる中で、精子ドナーが確保できなくなったためだ。 「法整備や公的精子バンクの開設を早急に進める必要がある」と訴える。

[慶応義塾大学医学部産婦人科産科診療科部長]
田中 守氏

1986年、慶応義塾大学医学部卒、同大医学部産婦人科学教室入局。浦和市立病院の勤務や、米ユタ大学産婦人科への留学を経て、2001年から慶応大医学部助手。14年、同大産婦人科教授になり、現職。

SUMMARY

慶応大病院のAID中止の概要

第三者から提供された精子を使った人工授精(AID)を巡り、生まれた子供が精子ドナーの情報を得る「出自を知る権利」への注目が近年高まってきた。AID治療の先駆者である慶応義塾大学病院は2017年、ドナーの候補者に同権利についての告知を開始。その影響により、ドナーを確保できなくなり、18年8月、新規の患者受け入れを中止した。

 非配偶者間の人工授精(AID)は、夫が無精子症の夫婦や、一方が性別変更した同性カップルらが、第三者から精子の提供を受ける生殖補助医療です。