よりよい社会を作ることが イノベーションの役割 挑み続ける姿勢が重要

写真=大槻 純一

 ドラッカー・マネジメント・スクールの学長をしていて「なぜ、ドラッカーの経営理論は今の時代にも通じるのか」と聞かれることがよくあります。

 ピーター・ドラッカーは経営理論の人という印象が強いと思いますが、彼の出発点は、人間に対する洞察でした。ユダヤ人だった彼は、生まれ育ったオーストリアを離れて米国に移住しましたが、欧州でナチスが台頭していく様子を目の当たりにしていたのです。

 彼は、人々が同じ過ちを犯さずよりよい社会を実現していくには、多くの人が最も時間を費やす職場のマネジメントを機能させることが重要と考えました。そのために、倫理観と責任感のあるマネジャーが組織を率いるべきだという理論を唱えたのです。さらにイノベーションとは人々の生活を向上させ、よりよい社会を実現するものだとし、経営者は常にイノベーティブでなければならない、と説きました。