競争が品質を磨く 強大なライバルの存在はむしろチャンスだ

 NHKの経営委員長時代、「NHKはもっと『競争』を意識すべきだ」と感じていました。もちろん、視聴率をめぐる民放各局との競争はありますが、直視すべきは、「放送と通信の融合」という大きな時代変化の中での他メディアとの競争です。

(写真=北山 宏一)

 今の若者たちはテレビ画面よりもスマートフォンやタブレットなどの画面を見て過ごします。コンテンツ制作という点では、国内外でオリジナルの番組を作って配信する動画配信サービスが急成長を遂げています。テレビ業界は日本語という参入障壁に守られてきましたが、機械翻訳の性能も向上しました。通信技術を使えば国境を越えたコンテンツ配信が可能です。 日本の放送行政も規制緩和を進め、NHKも民放も視聴者利便の観点から時代の流れを受け入れ、新たな世界・領域で競争すべきでしょう。

 全日本空輸(ANA)では、長らく経営企画に携わりましたが、常に日本航空(JAL)という強大なライバルの存在を意識してきました。かつて航空業界には、「45・47体制」といわれる航空会社の国内・国際線の事業領域に関する規制政策があり、長い間、ANAの事業領域は国内線に限られていました。その後、規制緩和の流れ、先輩たちの努力もあり、この規制は撤廃され、ANAも念願の国際線に進出することができました。