文化とは手間が掛かるものだが、掛けたエネルギーが感動体験を生み出す
デザインの仕事をする上で、感動体験をもたらすことを常にテーマにしてきました。見た人や使った人に感動を与えるには、色も形も素材も使い勝手も、今までにないものに挑戦し、取り入れていくことが重要になります。

九州新幹線や今年7月に運行を始める伊豆観光列車「ザ・ロイヤル・エクスプレス」のデザインもそうでしたが、とりわけ九州旅客鉄道(JR九州)のクルーズトレイン「ななつ星 in九州」では、車両としてはタブーとされてきたことに数多く挑みました。それが、古今東西の様式やデザインを曼荼羅のように組み合わせた「オンリーワン」の車両につながったのだと思っています。
ななつ星では、床や内装に木材をふんだんに取り入れ、洗面台には有田焼を使っています。どちらもメンテナンスが難しいし、壊れる恐れもあります。特に、車内の建具に利用した組子細工は、「列車が揺れた時にお客様がぶつかれば壊れてしまうのではないか」と職人さんが心配したほどです。その時に私は、「壊れたら作り直せばいいじゃないか。責任は持つから」と叱咤激励したのを覚えています。
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