「キャリアの中断」は
あなたの人生にとってむしろプラスに働く

 40年前、「岸辺のアルバム」(1977年)というテレビドラマを作りました。多摩川べりの新興住宅地のマイホームが台風による氾濫で流された、多摩川水害をモチーフにした物語です。ドラマの主人公の一家は一見幸せな普通の家庭に見えるけれど、実は崩壊寸前。家族4人にそれぞれ秘密があり、家庭内でいくつもの深刻な事件が起こっていきます。そんな家庭でも、自宅が流されていく瀬戸際に必死で持ち出そうとするのは家族のアルバムだったという結末──。

(写真=鈴木 愛子)

 山田太一さんの原作・脚本は、後の「3・11」にも通底するテーマで素晴らしいものでしたが、いささか自負を込めて言えば、それに負けまいと演出も従来にないものを目指し、役者さんたちにかなり厳しい要求もしました。その結果、「ホームドラマの常識を変えた」と言われ、多くの人に高く評価してもらえました。

 しかし実は、岸辺のアルバムを作る前に私は「網膜剥離」という病気を患い、半年ほども会社を休んでいました。網膜剥離の手術は今では日帰りも可能ですが、当時の手術は難易度が非常に高いもので、目が見えなくなるかもしれないという恐怖もありました。