アンプのサンスイ、チューナーのトリオ、スピーカーのパイオニア──。若い方は「何の呪文か」と思うかもしれません。レコードプレーヤーを中心としたステレオセットがお茶の間の主役だったころ。山水電気、トリオ(現JVCケンウッド)、パイオニアはオーディオ御三家と呼ばれ、その道ではソニーやパナソニックよりも格上でした。

 山水電気の技術者たちは「工場の柱のカビ一つひとつまでもが山水の音を作り出している。他社では絶対に同じ音は出せない」と話していました。音質への強いこだわりと誇りは数値では測れない領域にまで及び、高品質が世界のマニアの心をとらえました。しかし、同社は経営不振に陥り香港資本などに買収されて2014年に破産します。