2015年12月14日号目次
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PART 1
フィンテック巧者が 成功を収める理由
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東京・吉祥寺の駅前から徒歩7分。週末の買い物客でにぎわう商店街を抜け、閑静な住宅街をしばらく歩くと、突如として長蛇の列が現れる。列の先にあるのは、時計店「Knot」だ。店先の看板には取扱商品のブランドが掲げられているが、ロレックスやオメガといった定番のロゴは見当たらない。
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事業を拡大するための資金の出し手が銀行やVCなどに限られる時代は終わった。フィンテックは長らく続いた金融界のルールを壊し始めている。クラウドファンディングの資金提供者が個人だとすれば、これから紹介するトランザクションレンディングはEC(電子商取引)事業者だ。
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簿記や会計は人工知能で対応できる──。クラウド型の会計ソフトを手掛けるfreee(東京都品川区)の佐々木大輔社長はそう予想する。
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つくばエクスプレスの終着駅で降り、車でのどかな田園地帯を15分ほど走った茨城県土浦市に、有機野菜の栽培とインターネット販売を手掛ける久松農園がある。従業員はパートを含めて8人。5ヘクタールの敷地に約50種類の野菜を有機農法で育て、農協を介さずにネットを使って直接消費者に販売している。
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長崎県佐世保市にあるハウステンボスの園内では、こんな光景を見ることができる。「お会計、2580円になります」「じゃあ、支払いはこれで」。そう言って、客が差し出すのは親指と人差し指だった──。九州一の集客を誇る同テーマパークで、10月末から始まったのが指紋決済を使った電子マネーサービス「ハウステンボスマネー」だ。
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銀行以外からの融資が現実味を帯びていることは既に見てきたが、その根本で世の中の何が変わってきているのか。それは「信用情報」というものの中身だ。
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PART 2
第4の革命、世界一変 巨大銀行も抗えず
産業革命の発祥地である英国、IT革命の米国、この両国で今フィンテック革命が進んでいる。その本質は、金融の大衆化。銀行など旧勢力はその台頭に危機感を募らせる。革命の本丸は仮想通貨だ。その仕組みは世界の秩序を根底から覆す破壊力を秘めている。
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PART 3
「スーツ」と「ジーンズ」 コラボで道を開け
フィンテック革命が世界で広がるが、日本はスピード感に乏しい。原因はサービス供給者側にある。金融界を仕切る「大手町・霞が関組」とIT業界をリードする「渋谷・六本木組」の間にある深い溝。両者がコラボレーションをすることが、フィンテック先進国になる第一歩だ。