2015年11月16日号目次
-
PROLOGUE
ドイツも呆れる日本の「4.0」熱
「我が社もこのインダストリー4.0を推進したいんだが、どうすればいい?」今年の仕事始め。富士通の営業部員たちが客先回りをしていると、大手メーカーの経営者からこう切り出された。 「えっ?」。あまりに突然の問い掛けに戸惑っていると、その経営者は高揚した面持ちでこう続けた。 「ともかく御社でこの領域に詳しい人を説明によこしてほしい。すぐにだ」 ふと目線を経営者の手元に移すと、手には新聞や雑誌の記事の切り抜きが握られていた。タイトルを盗み見ると、そこには「IoT」「スマート工場」などの文字が躍っていた──。
-
PART1 日本編 隠れた4.0企業
志は流行に先んじる
インダストリー4.0の解説本に必ず登場する、カタカナばかりの「4.0ワード」。今では独り歩きを始め、「ワードを実践することこそが4.0」との勘違いも生まれている。しかし、ワードは手段にすぎない。重要なのは、「なりたい姿」を思い描いて突き進む志だ。
-
PART2 ドイツ編 始まる第2幕
担い手は中小へ
ドイツでは今、「インダストリー4.0」の第2幕とも言える新しい動きが起きている。担い手が、従来の大手から中堅・中小企業に移り始めているのだ。政府が掲げる錦の御旗の下、ドイツが1つになろうとしている。
-
EPILOGUE
挑戦を恐れる必要はない
10月28日午後、東京モーターショーの会場に歓声が響き渡った。トヨタ自動車の記者会見に、米大リーグ、マイアミマーリンズのイチローが登壇したからだ。大量のフラッシュを浴びながら、イチローはこう切り出した。 「僕は毎年、バッティングフォームを変えるようにしています。たとえ首位打者を取ったり、誰よりもヒットを打ったとしても、次の年には変えてしまう。(バッティングフォームの変更で)前の年よりも成績が下がったり、うまくいかないこともたくさんあります。それでも、今よりも前に進むためには、常に新しいチャレンジが必要だと、信じているから…」