2017年11月6日号
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PART 1
「勝てるけど負ける裁判」がある
相次ぐ鉄道内の顧客トラブル。中でも自殺による遅延は企業活動にも大きな影響を与える。代替輸送から車両の補修までの莫大な損害を、鉄道会社は遺族にどう請求しているのか。その過程からは、日本における企業裁判の動かしがたい一つの現実が見えてくる。
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PART 2
必ずしも正義が勝つとは限らない
経営環境の変化で新たに出現した6つのリスクは、業績好調な企業すら窮地に追い込む。だが、法治国家の最終解決手段、裁判は、新たなリスクに対し必ずしも有効とは言えない。正義が勝つとは限らない日本の裁判。そうなってしまう理由を解説する。
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「神戸製鋼の信頼はゼロになった」。10月12日、品質データ改ざん問題を受け、神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長は、顔を紅潮させ目に涙を浮かべながら報道陣の前でこう語った。
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「パワハラ副支店長のせいで、さらに2人が辞めるらしいな」「単純作業の繰り返しだから能力は伸びず、年齢だけ上がる」「会社はキャリア形成なんて全く考えていない」「そんなところに入社したおまえが悪い。就活をさぼった証拠だ」──。
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「誠意を持って対応しろ」。2014年4月、自動車メーカーのスズキのお客様相談室に、そんなメールを約1200回にわたって送信し、業務を妨害した疑いで、男が逮捕された。
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納めた酒税115億円を返して──。今年6月、そんな訴訟の第1回口頭弁論が始まった。訴訟を提起したのはサッポロビールで、訴えた相手は国税当局。4年にわたって続いているビール系飲料「極ゼロ」の問題に決着をつけるべく、司法の場に持ち込んだのだ。
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「あまりにもソックリすぎる。並べても分からない」。今から3年前の2014年、家電メーカー関係者の間で、こう話題になった2つの商品があった。
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「オフィスで様々な問題行動をする社員は確実に増加しており、経営上のリスクになっている。トラブルを抱えていない企業は全体の1%にも満たないのでは」。2000社近くの人事コンサルティングを手掛けてきたオフィスあん(大阪市)の松下直子社長は話す。
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PART 3
負けても訴えるか、訴えずして勝つか
経営環境の変化で出現した新たな経営リスクに有効に対応できない日本の裁判システム。企業がやれることは2つある。一つは、負けるとしても訴えて社会に問題提起すること。もう一つは、法が裁けぬなら国に頼らず、企業が自らの手でリスクを断つことだ。