2015年9月21日号目次
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PROLOGUE
「13日の金曜日」を愛する男
今年79歳の西室泰三は、1996年から9年間、東芝の社長、会長を歴任した。現在率いる日本郵政が今年11月に東京証券取引所に株式上場するという一大イベントを控えているにもかかわらず、この夏、会計不祥事で3人の社長経験者がそろって辞任するという、創業以来の危機に陥った古巣の出直しに向け、老骨にむち打って奔走した。
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PART1
上場控え募る危機感 見えぬ成長シナリオ
日本郵政グループ3社の株式上場まであと1カ月半に迫った。厳しい事業環境をどう勝ち抜くか。各社は危機感を募らせ、新サービスを繰り出す。しかし各施策に戦略性は乏しい。成長シナリオが描けているとは言い難い。
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PART2
どこもかしこも矛盾だらけ
上場で日本郵政グループは利益確保を最優先する立場になる。しかし効率性を追求してこなかった官業の面影は残ったままだ。対立する民間金融機関は水面下で提携を模索。至る所に“不思議”がある。
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PART3
プロ投資家は敬遠 生きる道は高配当
投資家への需要調査など、上場準備を本格化させる日本郵政グループ3社。株は果たして買いか見送りか──。想定価格を基に本誌で独自に分析したところ、「成長余地は乏しいが、高い配当が一定の支持を集める」という姿が見えてきた。
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PART4
政治が翻弄のツケ リーダー育たず
前島密が生んだ日本の郵便システムは、田中角栄によって政治と深く関わるようになった。関係は今も続き、政権交代のたびに社長が代わる。その結果、生え抜きのリーダー不在という異常事態が起きている。
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EPILOGUE
上場転機に、郵政再構築を
独北西部のユイスト島。対岸の都市ノルデンから12km離れた小さな島に向けて、昨年秋に新しい物流サービスが動き出した。ドローンを使った医療品の試験宅配だ。手掛けるのはドイツポストDHL。元国営会社はなぜ、この野心的な挑戦を始めたのか。それは郵便需要の推移を見ると分かる。