2015年9月7日号目次
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PROLOGUE
東証1部企業、ラオスで人手不足のため祈祷師を雇う
2015年で日本との国交樹立60周年を迎えたインドシナ半島の内陸国、ラオスは、アジアでも1、2位を争う最貧国だ。 国土の70%が山岳地帯という地理的条件や、港がないという物流上のハンディ、各種インフラの未整備から外資の参入も停滞。長年続いた計画経済の後遺症もあって1人当たり名目GDP(国内総生産)は1400ドル(約17万円)と東南アジア諸国連合(ASEAN)最低レベルだ。タイやマレーシアはもちろん、南のカンボジアや西のミャンマーにさえ注目度で差を付けられつつある。
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Part1
実は今、海外の方が採用難
北・南米からアジア、欧州まで世界中で、日系企業が採用難に陥っている。不足しているのは工員から店員、専門職まで幅広く、業務に支障が生じる状況も出始めた。人口増加国で人が採れないのは、欧米や中韓のライバルに“採り負けている”からだ。
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Part2
日本企業、敬遠される理由
海外で優秀な人材ほど日系企業を避けるのは、その経営手法が支持されていないからだ。給与から人事、組織運営まで全てが、欧米・中韓企業に比べ魅力的でないと見られている。背景には、日本人が海外で知らず知らずのうちに実践してきた「勘違い雇用」がある。
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日系企業のここが駄目【1】
「一部の日本企業の問題は、メキシコでは優秀な人材まで安い給料で雇えると思っていることだ」 人材派遣世界最大手、アデコのメキシコ・バヒオ地区のマネジャー、ラウル・ウェバー・レアル氏はこう話す。 つまり、メキシコで日系企業が外資と比べて期待通りに人材を採れていないのは、「ケチだから」というわけだ。本誌は今回、メキシコに加えてベトナム、タイ、インドネシア、ブラジル、中国など12の国と地域を現地取材したが、全ての国のワーカーや技術者からレアル氏と同様の意見が上がった。
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日系企業のここが駄目【2】
2014年10月、タイ・バンコク郊外にある日系自動車部品メーカーで労働争議が勃発した。前触れなく生産ラインが止まり、工員たちが盛んに話し合いを要求する。賃金交渉を含め労使関係はうまくいっていると思っていた駐在員は慌てて現場に駆けつけ、理由を問いただした。
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日系企業のここが駄目【3】
2012年にインドネシアに進出したある大手外食業は、原因不明の離職率の高止まりに長年、頭を抱えてきた。インドネシアではまだ日系企業の人気はそれなりにあり、募集をかければ応募者は十分来る。だが、採用しても、とりわけ女性店員は定着せず、1カ月もたたないうちに明確な理由を言わずに辞めてしまう。
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駐在員、嘆きの誌上座談会
司会:海外で日系企業の人材採り負けが続く状況で、駐在の日本人マネジャーに責任を問う声も聞かれます。駐在員のみなさんにも言い分があるかと思います。この場でみなさん、本音をぶちまけてください。
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Part3
世界規模で消える“使える人材”
人材確保に苦戦する日本企業だが、今後はさらに厳しい状況が待ち受ける可能性がある。技術革新で仕事のスキルが高度化。“使える人材”が世界規模でこれから減る恐れがあるからだ。「勘違い雇用」の是正は、“地球どこでも人手不足”を解消する第一関門にすぎない。