2018年9月10日号
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PART 1
英国人スパイの独白
真夏の某日、本誌記者は指定されたビルの一室で英国の元諜報員と接触した。柔和な表情の下に、女王に忠誠を誓い、修羅場をくぐり抜けた無慈悲な素顔が隠れる。得意分野はサイバー戦だ。強いアイルランドなまりで、世界が直面する「真実」を語り始めた。
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PART 2
サプライチェーンが標的に
サイバー犯罪集団や国家のサイバー部隊が、ネットの暗闇から企業に狙いを定めている。攻撃の手口は年を追うごとに巧妙になり、あらゆるモノが狙われ、被害規模は巨大化した。もはや逃げ場はない。日本を代表する大手製造各社が受けたダメージの実態に迫る。
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PART 3
日本企業を包囲する4カ国
日本企業を狙うサイバー部隊をつぶさに検証すると、4つの国が浮かび上がる。北朝鮮や中国、ロシア、イランは最新の手口を教え合い、攻撃能力を高めていく。同盟国である米国すら全面的に信頼するのはナイーブだ。サイバー空間に味方はいない。
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PART 4
MUFG、富士通、パナソニックの防衛策
憲法や自衛隊法の制約により、日本が諸外国のサイバー防衛をまねるのは難しい。しかし、人命にまでハッカーの魔手が迫る中、企業も国の責任にしてばかりはいられない。自前のインテリジェンスチームの設置などでハンディを乗り越えようとする動きもある。
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サイバー防衛で大事な「Who」「How」「Why」
国際通貨基金は6月、世界の金融機関がサイバー攻撃により受ける被害が年間3500億ドル(約39兆円)に上る可能性があるとの試算を公表した。金融機関にとってサイバー攻撃は最大の経営リスクとなっている。
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日経ビジネスDIGITAL限定コンテンツ
セキュリティーの責任は、経営層が担うべきだ
日本企業を取り巻くサイバー攻撃のリスクが年々高まる中、各企業が設置を進めているCISO(最高情報セキュリティー責任者)。国内企業の約6割でセキュリティー部門のトップを「非役員」が務めているという調査結果もあるが、東京海上ホールディングスは2017年4月に新たにCISOを設置し、常務執行役員の稲葉茂氏が就任した。CISOの設置が会社をどう変えたのか、稲葉常務に聞いた。
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日経ビジネスDIGITAL限定コンテンツ
自衛隊のサイバー部隊は「企業を守れない」
国家機関の攻撃から自社を守るためには、自国の公的機関との連携が欠かせない。各国でその中枢的な役割を果たしているのが、軍や情報機関のサイバー諜報組織だ。しかし、自衛隊のサイバー部隊にはこうした役割を果たすことが制度上の縛りでできない。陸上自衛隊のサイバー部隊「システム防護隊」の初代隊長や、経済産業省のサイバーセキュリティ・情報化審議官を歴任し、今年7月から米セキュリティ企業大手、ファイア・アイの日本法人でCTO(最高技術責任者)を務める伊東寛氏に課題を聞いた。
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日経ビジネスDIGITAL限定コンテンツ
「イラン襲うサイバー兵器を開発したかって?」
イスラエル軍8200部隊は世界で最も恐れられるサイバー部隊の1つである。一躍有名にしたのは、2010年にその存在が明らかになったサイバー兵器「スタックスネット」だ。イランの核開発施設に感染し、ウラン濃縮装置を壊すことに成功。サイバー攻撃で物理的なダメージを与えられることを世界に示した。
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日経ビジネスDIGITAL限定コンテンツ
すご腕ハッカーは旧共産圏の田舎に住む20代
金銭を狙ったサイバー犯罪の被害が巨大化している。今年1月に被害に遭った仮想通貨交換会社コインチェックのように、一度に盗まれる金額が数百億円に上ることもある。米ロを代表する情報セキュリティー会社の専門家2人に、世界を荒らし回る「サイバー強盗」の素顔を聞いた。