2016年3月21日号
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PART1
農村まで到達した異次元のEC爆買い
経済成長が鈍化した中国。だが、EC(電子商取引)の勢いはとどまるところ知らない。その影響力は都市から農村にまで及び、ネスレなど巨大グローバル企業の戦略をも動かす。リアルの小売りの普及スピードを凌駕するEC化の波が、世界を揺さぶる。
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PART2
“3つの壁”に腐心 日本も戦略転換へ
猛烈な勢いで拡大する中国のEC市場は、日本企業にとってもはや見逃せない。しかし、販路や工場など従来の資産が、EC参入を阻む壁となって立ちはだかる。中国事業で先行してきた企業が抱える、知られざる悩みと、その対処とは。
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生産の壁
カルビー
カルビーの笙(しょう)啓英・海外第一事業本部長は言い切る。同社は今年1月、Tモールグローバルに出店した。販売しているのは、「じゃがビー」や「かっぱえびせん」「ポテトチップス」など同社の主力スナック菓子だ。「まだ始めたばかりで規模は小さいが、既に黒字。中国事業がずっと赤字だったことを思い起こせば、隔世の感がある」(笙本部長)。
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販路の壁
ピジョン
中国事業が連結売上高の3割以上を稼ぐピジョンも、急速なEC化に翻弄されてきた。2016年1月期の中国事業の売上高317億円のうち、ECが占める割合は既に31%。今期は35%に高めるという。着実にEC事業を伸ばしているようにも見えるが、これまで何度も「販路の壁」に悩んできた。
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組織の壁
コーセー、UCC、内野
競合他社に先駆け、2010年に中国でEC事業を開始したコーセー。当初は店舗で販売していた中国生産品の在庫処分に活用していたが、その後は順調に売り上げを伸ばしてきた。だが、2013年に入ると状況は一変する。米クリニークや仏クラランスといった海外の高級ブランドが続々とTモールに出店し、ECを本格的に展開し始めた。
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PART3
ECをアジア戦略の本丸に
中国で起きているECの急拡大は、新たなグローバル競争の幕開けであり、それは中国だけにとどまらない。世界の消費者からの日本ブランドへの関心をテコに、今こそECを経営の柱として位置付けるときだ。