2016年2月8日号
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PROLOGUE
「チャイルショック」が世界を襲う
米フロリダ州ケープカナベラル空軍基地から打ち上げられたロケットはおよそ10分後、エンジンを噴射しながらゆっくりと地上に着陸した。
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PART1
頼りない米国 頼れない欧州
「堅調」と言われた米国経済だが、新興国の投資減少が利益をむしばみつつある。一方の欧州経済は難民流入に伴う社会の分裂で経済どころではない。世界の需要をけん引した中国は減速の一途。誰が世界の需要を救うのか?
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CASE1 米国
「利益」の弱さに一抹の不安
米ノースダコタ州ウィリストン。「シェール革命」によって全米を代表する産油地になったバッケンの玄関口として知られている街だ。だが、バッケンを東西に貫くルート2を走ると、寒々とした光景が広がっていた。
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CASE2 欧州
難民、独主導の経済に影
「難民は去れ!」。1月下旬、ドイツ・ミュンヘン中心部でデモが始まった。「我々の治安を脅かす者に、救いの手を差し伸べる必要はない」。参加者が叫ぶと、周囲が歓声とともに呼応する。そこには約4カ月前、「歓迎」の垂れ幕とともに、温かく難民を迎え入れた雰囲気はなかった。
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CASE3 中国
世界のデフレ圧力一段と
安徽省の長江沿いに広がる蕪湖市。中国のセメント製造大手、安徽海螺(英語名・CONCH=コンチ)セメントを傘下に持つ国有企業、海螺集団はこの町に本拠を置く。市の中心部から少し離れた同社施設が集積する地区にはセメント工場もあり、巨大なプラントの影が池の水面に映る。
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CASE4 ASEAN
6億人市場の死角
インドネシアの首都ジャカルタから東へ30kmほど離れたブカシ市に住むザイヌリ氏(33歳)。昨年12月、自動車購入という長年の夢を諦めた。
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PART2
踊った新興国、宴の後の苦しみ
「チャイルショック」は、経済基盤が弱い新興国に大きな影響をもたらしている。資源価格高騰を原動力に成長してきたブラジルやガーナは、経済の停滞が著しい。新興国頼みだった世界経済成長のストーリーが終焉し、日本を含む先進国企業の打撃も大きい。
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EPILOGUE
秩序なき世界、経営もリスクに備えよ
東アフリカ随一の経済規模を誇るケニア。アフリカを代表する工業国として発展し、世界の企業がフロンティアとして熱い視線を送ってきた。だが、近年はイスラム過激派のテロに揺らぐ。