今年もインフルエンザの季節を迎え、新しい治療薬が話題を呼んでいる。「服用は1回で済む」という分かりやすい利便性が、患者の関心を集めている。既存のワクチンが抱える問題を解決する取り組みも進み、流行の鎮静化に期待がかかる。

 「『ゾフルーザ』を処方してください」

 間もなく師走。インフルエンザの流行期が近づいてきた。今シーズンは、治療薬を患者の方から医師に指定する光景が全国の病院で見られるかもしれない。塩野義製薬が開発した経口タイプの新薬「ゾフルーザ」が、本格投入されるからだ。

 ゾフルーザの特徴は大きく2つある。まずは、錠剤を1回飲むだけで抗ウイルス効果が長続きすること。もう一つは、抗ウイルス効果が高いことだ。今年3月に国内で発売され、10月には米国でも承認された。感染が広がるのを防ぐ新薬になる、と医療関係者から大きな期待が寄せられている。

 人間の細胞にインフルエンザウイルスが「侵入」すると、細胞内で自らのコピーを作って「増殖」していく。そして細胞膜を破って飛び出て、人間の体内で「拡散」する。インフルエンザの症状は悪化し、せきなどを通じて周囲の人にウイルス感染を広げることになる。