筋肉が動く時に流れる微弱な電気信号を使って操作する「筋電義手」。事故などで手を失った人のために開発され、AIを搭載したものも登場し始めている。将来的には健常者も含め、人間の可能性を広げる道具になるかもしれない。

用途に合わせ様々なタイプのハンドがある
●オットーボックが販売する筋電義手

 キュイーンと小さな音が鳴り、男性が右腕に装着している機械仕掛けの手が動いた。立方体の小さな積み木を器用につまみ、上に重ねていく。リモコンなどは不要で、特定の筋肉に力を入れることで操作できる。彼が使っているのは「筋電義手」と呼ばれる機械だ。

 事故などで手を失った人が使う義手。外観を補うための「装飾用義手」とは異なり、自らの意志で操作できるのが筋電義手の特徴だ。筋肉が動く時に流れる微弱な電流を読み取り、物をつかんだり運んだりできる。体の一部を失っても、より活動的に暮らしたい──。そんな切実な願いを受けて、多くの研究者が開発に取り組んでいる。

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