明治時代に多くの外貨を稼ぎ、近代化を支えたカイコが、新たな「糸」を生み出し始めた。遺伝子を組み換えると、「繭」にエイズウイルスなどを早期発見できる抗体が組み込まれる。オーダーメード医療にも道を開く新技術を生かすには、製薬会社の協力が欠かせない。
「いよいよ動き始めたか」。8月31日、ある発表に素材業界はざわついた。日東紡が、遺伝子組み換えカイコを扱うスタートアップのリムコ(沖縄県うるま市)の第三者割当増資を引き受け、33.4%を保有する株主となったのだ。
1898年に郡山絹糸紡績として事業を始め、明治期の殖産興業を支えた日東紡。創業120年を機に、祖業の絹糸業に回帰するわけではない。狙いはカイコが吐き出すタンパク質だ。特殊な繭を作らせれば、医薬品に使う「抗体」の製造方法が一変する。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り2814文字 / 全文文字
-
「おすすめ」月額プランは初月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
日経ビジネス電子版有料会員なら
人気コラム、特集…すべての記事が読み放題
ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「テクノトレンド」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?